TOPページ > アピール > 乳がん検診のデメリットもはっきりと報道してください

アピール

2016年02月24日 up New !

乳がん検診のデメリットもはっきりと報道してください

高木学校 医療被ばく問題研究グループ

 北斗晶さんの乳がん報道を発端に、乳がん検診を勧める意見が新聞やTVでさかんに取り上げられています。乳がん検診には主としてマンモグラフィーと超音波検査の二つの方法があり、それぞれに長所短所があります。「検査の見逃しを防ぐためには両者の併用が必須」とする記事や40歳未満のより若い層にも検診を勧める論調が見受けられます。

 しかし、検診を受けることによるデメリットをきちんと説明した記事が少ないことを憂慮します。特にマンモグラフィーはエックス線検査ですから、放射線による医療被ばくを伴うことを伝える必要があります。

(1)検診の効果は、乳がん死を免れることのみならず、総死亡の減少として評価されるべきものです。しかし、乳がん検診の有効性を網羅的に調べたガイドラインでもその評価はなされていません(※注)。検診そのものの必要性を考慮したうえで情報発信してください。

(2)検診には見逃し、偽陽性、過剰診断・過剰治療が一定割合で生じ、これらのデメリットを検診によるメリットが上回らなくてはいけません。米保健福祉省は、40歳代ではマンモグラフィー検診のメリットよりデメリットの方が大きいとの研究成果に基づき、「50〜74歳の女性が2年に一度受診」を推奨する指針を堅持しています。また日本の乳がん検診ガイドラインでは、データ集積に不十分な感はありますが「40歳以上2年に一度受診」となっています。50歳以上か40歳以上か、日米で基準に差はあるものの、いずれにしても若年者にはデメリットが大きいと判断されています。したがって、若い層へマンモグラフィー検診は勧めるべきではありませんし、40歳以上の人へも安易な推奨は慎むべきです。

(3)放射線による被ばくで新たながんを引き起こす恐れがあることもきちんと伝えてください。特に乳房は放射線への感受性が高く、また年齢が若いほど放射線の影響を受けやすいことを、検診を受ける上での重要な判断材料として提供してください。

(※注)
「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン 2013年度版」
国立がん研究センター がん予防・検診研究センター


詳しくは、以下をご参照ください。
『レントゲン、CT検査 医療被ばくのリスク』高木学校(編著) (ちくま文庫)
筑摩書房 2014年4月 900円


文責 奥村晶子(2016年2月15日)

※PDF(102.9kb)のダウンロードは、こちらから


▲このページの先頭に戻る
TOPページ > アピール > 乳がん検診のデメリットもはっきりと報道してください